明日、きっと別れを告げます


日曜日、家の前まで車で迎えに来てくれた高野さん。

助手席に乗せてもらい予定通りショッピングモールまで行くも、入る前から渋滞に巻き込まれその人気の高さに驚かされる。
それでもおしゃべりをしていたら待っている時間も苦にならない。
スマホでショッピングモールのサイトを確認しながら、どのショップに行こうかと目安を立てる。

「この分じゃ今日もパンケーキのお店は行列できてそう。まるでテーマパークみたい」

「でも真知はそこに行きたいんでしょ?いいじゃん、行けば」

「高野さんは気になるお店ないの?」

「どれも見てみたいから、真知が行きたいところでいいよ」

そうやってすぐに私を甘やかす。
申し訳ないなと思いつつ、それが心地よくてたまらない。

「ほら、行くよ」

高野さんは自然と私の手を取り、目的のパンケーキのお店を目指す。

大きくて節ばった手は男らしくてたくましく、それなのに柔らかく包むように手を繋がれるその繊細さに胸がいっぱいになる。
いちいちドキドキしてしまう私は完全に高野さんの虜だ。

終始楽しいショッピングモールのデートはあっという間に夕方を迎え、帰宅の途につくことになる。

「真知ごめん、本当は夜まで一緒にいたかったんだけど」

「ううん、大丈夫」

高野さんは急きょ明日の会議に出席することになり、その資料を今日中に作らなくてはいけないのだそう。
私と夜まで一緒にいたら資料を作る時間がなくなってしまうから。
休日にまで仕事を持ってくる上司に少し腹立たしさを感じるけど、高野さんは仕事に真面目だということを知っているから応援したい。

「でも、帰る前に少しだけ休憩してく?」

「休憩?」

いつの間にか車はネオン街に入ってきている。
休憩とは、つまり、そういうことなのだ。
私ももう初めてじゃないから、意味がわかる。

これから待ち受けるコトに対してドキドキと高鳴る胸を必死に抑えながら、小さく「うん」と頷いた。

「真知」

甘く名前を呼ばれるだけでドキッとするのに、間接照明に照らされた高野さんは艶めかしくて更にドキドキと鼓動が速くなる。
これからキスをされて触られてそして繋がって……。
その過程がわかっているのに、こんなにもときめきで死にそうになるのはなんでだろう。

「可愛いよ」

瞳を覗き込まれて囁かれる言葉はまるで麻薬だ。
一瞬で体がジンと痺れてしまう。
ちゅっと音を立ててキスをされるたびに心まで高野さんに包み込まれているよう。
求められるのが嬉しくてすべてを彼に委ねる。

「真知の声、もっと聞かせて」

耳元で甘く囁かれ、そのまま耳たぶを甘噛みされた。
もう何も考えられない。
私と彼の吐息が魅惑的に聴覚を揺るがす。
押し寄せる快楽に身をよじらせながら、全身で幸せを感じた。
本当に、幸せだった。

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