婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 それを明日のピクニックのために取っておいて、三人は崩れたクッキーで試食会をすることにした。
「ちょっと形は悪いけれど、さくさくでおいしいわ」
 一番先に手に取ったミィーナが笑顔で言う。
 さっそくアメリアもマリーエも、割れてしまったクッキーを手に取る。
「うん、おいしいね」
「でも、もう少し器用だと思っていたわ」
 溜息をつくマリーエに、アメリアも同意して頷く。
 何でも器用にこなしてきただけに、クッキーくらい簡単に作れると思ったのだ。
「でも、次はもっと上手に作れるわ。だからまた挑戦してみましょう?」
 前向きなミィーナの言葉に、アメリアもマリーエも笑顔で頷いた。
 冬になればまた休暇がある。
 畑は春まで休耕するので、サルジュとユリウスが訪れるのは難しいかもしれないが、この三人ならいつでも集まれる。また一緒に料理をしようと約束した。
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