婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 翌日は快晴で、七人は少し離れた見晴らしの良い場所に徒歩で移動した。
 皆で歩いていくのも楽しいかと思ってそう決めたのはアメリアだ。
 けれど歩いていると目につくのか、サルジュが興味のある植物を見つける度に立ち止まるのでなかなか進まない。
ようやく目的地に辿り着いた頃には、もう昼近くになってしまっていた。
「急いで準備をしましょう」
 レニア伯爵家がつけた護衛の者に手伝ってもらって、昼食の準備をする。
 ここ最近、天気が急変しやすい。晴れている間に昼食にしたかった。
 地面にシートを敷き、バスケットを並べる。中は片手でも食べやすい料理ばかりだ。
 皆で並んでシートに座り、食事を取り分ける。料理人はかなり気合を入れて作ってくれたらしく、簡単なものばかりなのにとてもおいしかった。
「これ、三人で作ってみたのですが」
 最後に昨日作ったクッキーを差し出す。
「まずお兄様がどうぞ」
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