婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 アメリアの考えを聞いたサルジュは、感心したように頷いた。
「そうだな。私は水魔法のことしか考えていなかった。アメリアの言うように、水魔法を使えない者も大勢いる。効果のあるものをきちんと作れるかどうか試してみよう」
 結果的には、この魔法水が新しい水魔法よりも高い評価を得てしまった。
 魔法を使えるのは貴族だけだ。だが、この国には平民の方がずっと多い。良心的な値段で魔法水が売られるようになれば、誰でも新しい水魔法と同じ効果をもたらすことができる。
 しかもサルジュは、この魔法水の開発者はアメリアひとりであると発表した。たしかに案を出したのはアメリアだが、サルジュの助けなしにはどうにもできなかった。 
 そう言ったのに、彼は聞き入れてくれない。
「いや、これはたしかにアメリアの功績だ。私では思いつくことはなかった。アメリアが認められて嬉しいよ」
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