婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 言葉通り、本当に嬉しそうにサルジュは笑っていた。

 何度も実験を繰り返し、安全性が確認されたところで、魔法水は正式な商品として認められた。
 既に多くの農地を持つ領主から問い合わせが殺到しているようだ。
 アメリアとしては、開発者として名を残せれば充分なので、魔法水の権利はすべて国に献上している。代わりに報酬を、という話もあったようだが、謹んで辞退した。
 サルジュとアメリアが求めているのは、ふたりの婚約の許可だ。
 それは魔法水が認められたとき、国王陛下から直々に許すという言葉を賜っている。ならばいずれ王族の妻になる者として、国に貢献するのは当然のことだ。
 今は収穫の時期となり忙しいが、新年になれば今度はサルジュとアメリアの婚約披露パーティが開かれる。
 そこで正式に、アメリアはサルジュの婚約者となる予定だ。
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