婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
「そうね。私だってアレクシスと婚約したときは、普通に青いドレスだったわ」
 愛されているのは嬉しい。アメリアだって、形にできるものならそうしたいほど、彼のことを愛している。
 でもそれを改めて言われてしまうと恥ずかしすぎて、アメリアは両手で顔を覆った。
「……あなたのためよ」
 そんなアメリアを見て優しく言ってくれたのは、ソフィアだ。
「この国の貴族も、良い人ばかりじゃないからね。あなたを地方貴族の娘だと思って、侮るような人もいる。もしくは、あなたを利用しようとする人もいるかもしれない。その白いドレスは、そんな人達からあなたを守るためよ」
 仕事上のパートナーというだけではなく、最愛の女性である。サルジュはそれを示して、アメリアを守ろうとしているのだ。
 それを聞かされたアメリアは、心を落ち着けるように深く息を吐く。
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