婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 休みの日には彼女に会いに来ることを約束して、次の日からカイドはサルジュの護衛騎士となった。

  結論から言うと、初日からかなり大変だった。
 護衛騎士に任命されたときは、まさか第三王子ユリウスの婚約解消に立ち会うことになるとは思わなかった。
 カイドはその日のことを思い出して、深く溜息をつく。
 当日の朝、まず王城に向かった。
 明日からは学園前でサルジュの到着を待つことになるが、初日ということもあり、今日は王城に迎えにいくことになっていた。そこでアレクシスから正式に護衛騎士として紹介される予定であり、サルジュもそれを承知していたはずだ。
 けれどいつまで待っても彼は現れず、心配したアレクシスが探しに行くと、昨日の夜からずっと王城の図書室に籠っていたらしい。
 集中すると飲食を忘れるどころか、時間の感覚もなくなってしまうようだ。これは、明日からなかなか大変かもしれないと思いながら、とりあえず護衛騎士として彼に付き従う。
 サルジュは護衛を連れ歩くことに慣れていないのか、それとも別のことに気を取られているのか、カイドよりも先に歩こうとする。
 それでは護衛の意味がないと、それを何度も注意しながら、何とか無事に放課後になった。
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