婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 もちろん、すぐに返事を書いた。気にしなくてもいいから、勉強を頑張って。そんな内容だったと思う。
 だが、それに対する返事はこなかった。
 そのときはまだ本当に忙しいからだと思い込んでいた。
 だが秋になってもリースからの連絡はまったくなく、彼が気にしていた農作物の収穫量を詳しく知らせても、何の返信もなかった。
 冬になってようやく、忙しかったので返事も掛けずにすまない、という簡潔な手紙が届いた。
 もちろんリースが帰って来ることもなかった。
 この頃になると、アメリアもリースからの連絡を待つようなことはなくなっていた。
 春になればアメリアも学園に通うために王都に行く。そこでリースに会えばいい。
 だが父は、なぜかリースから手紙は届いているのか。どういった内容なのかを、しきりに聞いていた。
 後から思えば、父はリースの対応を常に探っていたように思う。
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