婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 でもこのときのアメリアは、そんなことはまったく知らず、春からの学園生活のことで頭がいっぱいだった。
 王都に屋敷がある大貴族の子息や令嬢なら、自分達の屋敷から学園に通っているようだ。でもアメリアのような地方から王都に行かなければならない生徒は、学園内にある寮に入ることになっている。
 学園には三年間通わなくてはならない。
 長期休みのときは領地に帰るつもりだが、リースの様子から考えると、学園生活はかなり忙しそうだ。
 それに色々と準備もあるから、入学式のひと月前には王都に移動するつもりだ。
 その間、忙しい父とはなかなか話すことはできなかったが、母とはよく話をした。
「学園には王国中の貴族が集まるから、色々と面倒ごともあるかもしれないわ。もし自分だけで解決するのが難しいと思ったら、すぐに連絡しなさい」
「はい、お母様」
 心配そうな母に、笑顔でそう答える。
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