離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない

「はい。それで四六時中一緒にいないほうがいいんじゃないかと思って。病室を分けてもらったら、早苗ちゃんにも笑顔が戻ってきました。あゆみちゃんと自分を比べて苦しまなくてよくなったんだと思います」

「なるほど。それが借り？」


竹内さんには何度か師長と話し合いの場を持ってもらった。
私の力ではどうにもならなかったと思う。


「そう、です。でも、津田さんにしてしまったことはとても失礼だったと思います。本当に――」
「やっぱり結婚しよう」


私の謝罪を遮った津田さんの発言に耳を疑う。

今の会話の流れで、どうしてそうなるの？


「それはちょっと……」


『ありえません！』と言いたいところだが、だましたという罪悪感が声を小さくさせた。


「付き合ってる男いないんだよね？」

「そうですけど、だから結婚っておかしいです」