離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない

彼は先ほど『カフェでは叫びたくても叫べないぞ』と意味深長な発言をしていたけれど、たしかに叫びたい気分だ。


「そうかな。俺は見合いをして気に入った。その日に結婚を即決するほどね」


口角を上げる彼は当然のように話す。

しかし違和感がありありだ。
だって、嫌われようと必死に画策していただけなのだから。


「おかしいですって」


ムキになる私とは対照的に、落ち着き払っている津田さんはコーヒーカップに手を伸ばして再びのどに送っている。


「正直に言うよ。俺、結婚には興味がなくて、家庭を持つ必要はないんじゃないかと思ってた」

「え……」


それまた衝撃の告白だ。

そんな人が見合いに来たのは、やはり松村先生の顔を立てるためなのかしら。


「自分で言うのもなんだけど、仕事人間でね。結婚すると、自由が利かなくなって、仕事に支障が出るだろうと」