離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
「うわ、そうだったんだ。それじゃあ、今度その人を見かけたら教えて。私も謝らなくちゃ」

「それが……。なんか気に入られてしまって」


告白すると、竹内さんの目が真ん丸になる。


「気に入られた? それで?」

「……婚約、したみたいです」


竹内さんはあんぐりと口を開けて動かなくなった。

そりゃあ、身代わりで見合いに行ったら即婚約って、普通なら考えられないもの。


「したみたいって……」
「婚約、しました」


照れくささもあって濁したが、はっきりと承諾したのだから事実だ。


「嘘みたい。こんなことある?」

「ですよね」

「いやぁ……びっくりだけど、おめでたいじゃん! 出会ったその日に婚約って、ロマンティックじゃない」


竹内さんが乙女の顔をしているものの、そんなキラキラしたものじゃない。

これはただの契約だ。


「まあ……」

「あれっ? 婚約したのに湿っぽいね。マリッジブルー?」

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