離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
そんなものでは決してない。
ただ、不安があるのは間違いではないのだけれど。
「いえ。それで、松村先生になんと伝えようかと相談していて」
「ほんとだ。忘れてた!」
それはないわよ、竹内さん。
「津田さんが、竹内さんが不安でお見合いに私も連れていった。そうしたら、竹内さんとは気が合わなかったけど、私と意気投合してしまったという感じでどうでしょうと」
「了解! それで行こう、うん」
私の婚約を喜んでくれているようには見えるけれど、なんとも軽い。
「そろそろ申し送りの時間だわ。松村先生には私から話しておくね」
竹内さんは慌ただしく去っていった。
大丈夫かな……。
彼女はもともとサバサバした人だけど、任せておいて平気なのか心配になる。
とはいえ、私が松村先生に報告するのもおかしいし。
「まずい」
私も仕事だ。
我に返った私は、慌ててあおぞら教室に向かった。