離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない

喜多川先生が電話で報告を受けている間に、職員室の隣にある中学、高校部の教室のドアが開く音がしたので見に行くと、高校二年生の真奈香(まなか)ちゃんが来ていた。

彼女はホワイトボードの前に並んでいるイスを引き出して座り、机に突っ伏している。


ここは服装は自由で、今日の彼女はトリコロールのボーダーＴシャツ姿。
よく似合っている。


「あれっ、早くない？」
「蛍ちゃん、今日かわいいじゃん。彼氏でもできた？」


声をかけると、顔を上げた彼女が鋭い指摘をしてくるので目が泳いだ。

津田さんに明るい色が似合うと言われて調子に乗った私は、クローゼットから花柄のスカートを引っ張り出してはいてきたのだ。

ちなみに津田さんに買ってもらった白いブラウスに合わせている。


「いや……」
「蛍ちゃん、わかりやすいって。彼氏連れておいでよ」
「それはさすがにできないわよ」