離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
「はー、テンション上がったわ。それじゃ、あとでまた」
「うん。待ってる」


真奈香ちゃんはそう言うと戻っていった。

少しは気持ちが整っただろうか。


廊下に出て彼女を見送っていると、職員室から喜多川先生が出てきて、同じように彼女を見つめた。


「検査結果が思わしくなくて、退院が延期になったようです」
「そうだったんですか」


治療に積極的に取り組んでいたのに、期待を裏切られてしまったのだ。

好きな男の子が転校してしまうから、その前にどうしても復帰したいと意気込んでいたのに。


「うーん。難しいな」
「そうだね。俺たちは寄り添うことしかできないけど、それで少しでも救われてくれたら」


喜多川先生がため息をつきながら言う。


「はい」
「それで、婚約ってなんですか?」
「あっ、それは……」


最初は小声で話していたのに、ヒートアップしてきて途中から普通に会話していたかも。

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