特等席〜私だけが知っている彼〜2
「今度は誰のニュース？」

「フッフッフッ、何と牧五十鈴と卯月心愛の熱愛記事を見つけちゃったの！」

「えっ？」

椿芽の目の前が一瞬真っ暗になる。電話を切った後、椿芽は慌ててネットで記事を探した。すると、「熱愛発覚！！」と大きな見出しが見つかってしまう。

「何これ……」

そこには、映画の撮影で訪れている県にあるお店で二人が買い物をしている様子が映し出されていた。仲良く話しているように見える。

「五十鈴くん……」

胸が苦しくなり、椿芽の目の前がぼやけていく。記事には「ビッグカップル誕生！」という言葉もあった。手が小刻みに震えている。

その時、椿芽のスマホが振動する。撮影で忙しいはずの五十鈴からだった。いつもならば、電話があればとても嬉しい。だが、今日は別れを告げられてしまうのではという恐怖もあり、出るのに時間がかかってしまった。

「もしもし、椿芽！ネットの記事見ちゃった？」

五十鈴はどこか慌てたような声だった。椿芽が暗い声で「うん」と頷くと、五十鈴は「ごめん」と言う。
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