特等席〜私だけが知っている彼〜2

「何で、付き合ってるって知っているんですか？それに住所は？どうやって……」

ひどい言葉をかけられたこと、そして付き合っていることを知られていることに椿芽は軽くパニックを起こしてしまう。すると、「うっさ」と睨まれてしまった。

「五十鈴くんがあんたに電話してるのを見たことがあるのよ！あんな幸せそうな目をして、頬を赤く染めて、恋愛映画の撮影でもあんな顔は見せなかった。絶対、女がいるんだって思ったのよ。実際、電話の最中に「好き」とか「会いたい」とか言ってたしね！住所は、お金を出せば住所を特定してくれる人に頼んで調べてもらったのよ。世の中金さえあれば何でもしてもらえて便利よね〜」

クスクスと心愛は笑った後、椿芽の胸ぐらを掴む。その力はとても強く、椿芽は恐怖を覚えてしまった。

「今すぐ五十鈴くんと別れてよ！あんたより私の方が彼に相応わしいわ。実際、SNSでは「お似合い」って言ってくれる人が多いのよ。ガキのよだれ服につけてる一般人のあんたなんか、そこら辺にいる芋みたいな男が充分でしょ？さっさとダーリンと私の愛の巣から出てってくれる？」