特等席〜私だけが知っている彼〜2
「五十鈴くんを奪われたくありません!彼と未来を作っていきたい!もう世界中の人に知られたって怖くない……。私、私、五十鈴くんと離れたくありません。五十鈴くんのことを世界で一番愛してるのは私です!」

椿芽がそう言うと、冬子はフッと満足そうに微笑む。そして、椿芽は冬子に手を引っ張られて立ち上がらせられる。

「その気持ち、会見に乗り込んでぶつけなさい。私もあの女に五十鈴を取られるのは嫌で仕方ないの。あの女、昔大嫌いだったクラスメートにそっくりなのよ。あざとくて、男子に媚ばっかり売って……。あの女の吠え面が見たいの」

そう言う冬子に手を引かれ、椿芽はマンションの前に止められている車に乗せられる。

(五十鈴くん……)

必ず会見を阻止すると椿芽は心の中で誓い、車はホテルへと向かった。



会見が開かれるホテルでは、多くの記者たちが五十鈴と心愛がやって来るのを待っている。そんな中、部屋で五十鈴は暗い顔をしていた。
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