Butler and Isla



ジュリエットとケイの手紙のやり取りは続き、何度か二人で会うことも増えた。ケイはいつも「愛する人にお会いするのだから」と舞台役者のような台詞を言いながら、付き人たちにたくさんのジュリエット宛のプレゼントを持ってやって来る。

「うちの娘をそこまで気に入っていただいて、光栄ですな」

父親はケイが屋敷に来ると常にご機嫌で、ジュリエットに「ほら、せっかくだから開けてみなさい」と優しい声で言う。この屋敷に来てからジュリエットが父親の優しい声などを聞いたことは一度もなく、初めて聞いた時には誰が話しているのかわからなくなってしまうほど戸惑った。

ジュリエットは一つずつプレゼントを開けていく。最初に開けた箱には、大きなサファイヤが使われたネックレスが入っていた。二つ目の箱にはルビーのブレスレットが、三つ目の箱にはエメラルドのブローチ、四つ目の箱にはダイヤモンドが散りばめられたドレスが入っている。

「あ、ありがとうございます。どれも素敵です」
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