Butler and Isla
結婚式を挙げる教会、参列者への招待状、披露食事会の会場など、準備は進んでいった。そしてついに明日、ジュリエットはアイスバーク家に嫁ぐ。
みんなが寝静まった夜、ジュリエットは眠ることができずにボウッとしていた。まるでデビュタントの前日の時のようである。
部屋の隅には、明日結婚式に着るために仕立ててもらったウェディングドレスが置かれている。真珠が散りばめられ、レースや刺繍が施されたゴージャスなドレスは、メイドたちが見ていて目を輝かせていた。
(私の趣味ではないんだけど……)
ケイと父親が「とにかく豪華に」とデザイナーに言ったためだ。こんなドレスにしたい、とジュリエットは何一つ口にしていない。勝手に決められた豪華な結婚式に相応しいドレスを勝手に作られただけだ。
心の中にモヤモヤした気持ちが募り、ジュリエットは部屋を出て廊下を歩こうとした。刹那、声をかけられる。
「ジュリエットお嬢様、また起きていらっしゃったのですか」