Butler and Isla
「ジュリエットお嬢様、明日のデビュタントで着るドレスを選びましょう」

「こちらに来てください」

メイドたちに引きずられるように衣装部屋へと連れて行かれると、そこにはウェディングドレスのような純白のドレスがいくつも並んでいる。だが、どれもデザインなどは違う。

メイドたちに一着ずつ着せ替え人形のように着せられ、似合うドレスを選んでいく。ジュリエットの体は疲れ果てていたものの、笑顔を貼り付けて何とか耐えた。

何時間もかけてジュリエットが選んだのは、気品漂うスクエアネックサテンドレスだ。ビジューのついた可愛らしいヒール靴を履き、シルク生地のロング手袋をはめ、頭にはドレスと同じ白い花の髪飾りをつける。メイドたちはドレスを着たジュリエットの姿に、目を輝かせた。

「とてもお似合いです!」

「まるで、どこかの国のお姫様のようです!」

鏡に映っているジュリエットは、いつも以上に飾り立てられている。華やかな彼女がさらに華やかになり、デビュタントでは注目の的だろう。だが、ジュリエットは笑うことがただ辛かった。
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