エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
実際その後は彼と関わるどころか、瀬奈と見学に訪れた競技会でも見かける機会がないまま進級し、澄夏は三年生になった。

世間では受験で忙しい年齢だが、澄夏は中高一貫校の生徒なので厳しい受験勉強などはなく、時間にも気持ちにも余裕があった。

空いた時間は両親に言われるまま地域のボランティア活動に従事していた。

七月上旬のある日は、前日に行われた花火大会の後片付けに参加した。

打ち上げ場所近辺一帯に落ちた花火の殻を拾う単純な仕事だけれど、大きな公園を中心にかなりの距離まで玉殻が散乱しているので手間がかかるので、それなりの人数が集められていた。

メインは市会議員や地元の町内会の役員たち。

彼らは澄夏が岩倉代議士の娘だと知っているので、いい加減な姿を見せては父に恥をかかせることになる。

逆にしっかりした振る舞いはイメージアップに繋がるのだと昔からしつこいくらいに言い聞かされていたからか、澄夏はかなり周りの目を気にする方だった。
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