エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「さすがに誰にでもペラペラ話したりはしない。高畑くらいだな。あいつとはプライベートの話を結構するんだ」

「そうなんだ……」

(一哉さんは私のことをどんな風に言ってるんだろう)

「最愛の妻って言ってるよ」

まるで澄夏の思考を読んだように一哉が言うから驚いてしまった。

目を丸くする澄夏に、一哉は楽しそうに笑った。



食事の後は、近くのバーに移動して少しだけお酒を飲んだ。

普段はあまり飲まないのだけれど、大人っぽい雰囲気にのまれたせいかアルコールが進む。一哉と一緒だから帰りの心配がないというのも大きかった。

ロックのグラスを傾ける一哉の仕草があまりに様になっていて、かっこよくて、目が離せなくなる。

気持ちが高まり、他愛ない話でも楽しくて、あっという間のひとときだった。

バーから出ると、上機嫌の一哉に腰を抱かれた。少し酔って大胆になっているせいか、澄夏にも抵抗はない。

彼に身を任せていると耳元で囁かれた。

「早く帰ろう。今夜はあまり寝かせてやれないかもしれない」

夜への期待が生まれ、澄夏は頬を染めた。そのとき、一哉のスマートフォンが着信音を鳴らした。
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