エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「奥さん、少しは元気になったみたいでよかったな。岩倉先生は歯に衣着せぬ発言が支持されていた反面、敵も多かったから、落選後の手のひら返しは結構あったって聞いてるよ。先生本人は覚悟があっただろうけど、奥さんと娘さんはきっと辛い思いをしてるよな」

高畑は以前所属していた部署で義父と関わる機会が有った。

加えて一哉の義父でもあるということで、親身になっているようだ。

結婚式のときに顔を合わせただけの澄夏を、気にかけてくれている。
適当なようで、情に厚いタイプなのだ。

(俺は仕事を言い訳にして澄夏に寄り添ってなかったっていうのに)

自己嫌悪に陥りながら、高畑に「ありがとう」と礼を言った。

「助けが必要だったら遠慮なく言えよ。仕事もフォロー出来るところはするから」
「ああ、助かるよ」
「それと、聞いておきたいんだけど」

高畑はどことなく聞きづらそうに声を潜めた。彼にしては珍しい。

「お前、南雲さんと揉めたりしてる?」
「……なんでだ?」

気持ちがずしりと沈んだが、表に出さないように返事をする。

「お前たちベストパートナーって感じだったのに、最近やけによそよそしいから。喧嘩でもしたのか?」
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