エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
気は乗らないが、ごく普通の同僚同士の会話の為、邪険にできない。

適当に相槌を打っていると、真咲が小さな溜息を吐いた。

「最近そっけないですね」

声音の変化に気付き隣を向くと、彼女は一哉を見つめていた。

「もしかして私、避けられてますか?」

空気を読んで彼女の方からも距離を置いているのだと思っていたから、ストレートな問いに少し驚いた。

それにしても、問い詰めたい気持ちをぐっと抑えているところにわざわざ踏み込んで来るとは、なんてタイミングの悪い。

「私、失礼なことをしました?」

黙ったままの一哉に、真咲が更に重ねて問うてくる。

(今の時期に揉めたくなかったが)

愛想笑いをしてなんでもないと流せない程、一哉は不満をためていた。

「妻からの電話に勝手に出たうえに、俺に取り次がなかっただろう。正直言って、君に対して不信感がある」

これでもかなり抑えて伝えたつもりだが、真咲はショックを受けたように目を見張った。

「奥様から聞いたんだと思いますが、誤解されています」
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