エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「……どうしてそんな風に切り捨てるような言い方をするんですか? 少し前までは私たち上手くやっていたのに。仕事の息が合って皆もベストパートナーだって。実際その通りで、私もあなたに好かれていると思ってました」

「同僚としては信用していたし、感謝していた。その関係を壊したのは君の方だ」

真咲は赤く色づいた唇を噛みしめた。

「奥様の電話を取り次がなかっただけで、嫌われてしまうんですか? それ程酷いことをしたとは思えません。私の言い分も聞いて……」

「酷いと思わないなら価値観があまりに違うということだ。これ以上話し合う気はないから」

取り付く島もない一哉の態度に、それまで悲しそうにしていた真咲が目を吊り上げた。

「急に突き放すなんて、須和さんだって私に好意を持っていたのに」

怒りの滲む声に、一哉は眉を顰めた。

(逆恨みじゃないか)

危惧していた方向にどんどん話が進んでいく。感情的になっている真咲にこれ以上なにを言っても無駄だと感じた。

「話は終わりだ」

一哉は睨みつけてくる彼女を置いたままその場を去ったが、胸の中には嫌な予感が広がっていた。


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