エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
うきうきする澄夏の耳元に一哉が口を寄せた。

「食事の後は朝までベッドで過ごそうな」
「え……」
「楽しみだな」

やけに色っぽい声で言われて、澄夏の頬に熱が集う。

南国のホテルの大きなベッドで抱き合う様子をつい想像してしまったのだけれど、それはもちろん彼には秘密だ。

(でも、私も楽しみ)

時間を気にせずふたり思う存分過ごせたら、どれだけ幸せだろう。

(まあすぐには難しいよね、可能性があるとしたら夏休みかな? あ、でも……)

「一哉さん、今回異動になりそうだって言ってたよね?」

澄夏の肩を抱いたままの一哉に尋ねる。配属が変わったら新たに仕事を覚えたりと更に多忙な日が待っているのではないかと思ったのだ。

霞が関にも比較的余裕のあるポジションはあるらしいが、そういう部署は育児の為時短勤務にしているなど事情のある職員が優先で配属されるだろうし、彼が指名されることはなさそうだ。

「まだ辞令は出てないけど、かなり可能性が高いな」
「海外赴任なんてことはないよね?」
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