エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「その場合、さすがに異動一週間前に辞令なんてことはないから、もう知らされてるはずだ。今回は国内だな。地方勤務もないとみてる」

「そっか……いいところだといいね」

彼だったらどこに行っても上手くやりそうだけど。

「心配してくれるのか?」

一哉はそう言いながら、澄夏の頭を撫でた。最近の彼はすぐに澄夏に触れたがる。

「一哉さんなら大丈夫なんだろうけど、そうは言っても心配になるよ」
「ありがとう」

彼が澄夏の前髪をさらりと上げ、額にキスを落とす。それから唇にも触れてきた。

端整で男らしい顔は何度見つめ合っても見惚れてしまう。

うっとりと目を閉じた澄夏に、一哉は口づけを深くする。

何度もキスを交わすうちに、肩を抱いていた彼の手が背中に回りぎゅっと強く抱きしめられ、最後は彼の膝の上に横向きにのせられていた。

そうすると見下ろされていた視線が合うようになる。澄夏は一哉の逞しい首に腕を回した。

こんな格好は恥ずかしいはずなのだけれど、繰り返されたキスでぼんやりしている頭ではあまり気にならない。

「ベッドに行く?」

そう尋ねてきた一哉の目には欲情が滲んでいた。
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