エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
瀬奈と別れた後、まっすぐ実家に帰った。
今夜は二日前にようやく退院した母のお祝いだ。
両親がどんな会話をして和解したのかは聞いても教えてくれないのだが、それなりに上手くいっているのは傍から見て分る。流れる空気が穏やかなのだ。
「お母さん、退院おめでとう」
テーブルを囲いちょっと豪華な食事を楽しむ。
母はまだ食欲はそれほどないようだが、ニコニコと嬉しそうにしている。
「お母さんが元気になってよかった」
「ありがとうね、澄夏にも心配かけてごめんなさいね」
「いいって。それより退院したからといって無理をしないでね。しばらくはゆっくりして」
「ええ。と言いたいところだけれど、やることは沢山だから」
「やること?」
澄夏は首を傾げた。母は父に含みをもった視線を送る。
「お父さん」
「……再選を目指すと決めた」
ぼそっと呟くように言われた言葉に、澄香は目を見開いた。
再選を目指すとはつまり、次回の選挙に挑戦するということだ。
「本当に?」