エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「そうなんだ……そういえば、一哉さんはあまりお父さんにあれこれ言わない方がいいって言ってた。本人がしっかり考えているだろうから周りは見守ろうって」

「そうか」

「お父さんの気持ちを一番分かってたのは一哉さんだったんだね」

親子でもない彼がなぜ分かったのかは不思議だけれど。

「この町をよくしたいという気持ちは一緒だからな」

「そっか……」

「とにかく母さんにも協力してもらいながら活動を再開する。当分選挙はないが、日頃の活動が重要だからな。早速明日……」

父は張り切った様子で母にスケジュールの説明を始める。母はまるで秘書のように、父に応えている。

(そういえばお父さんたちって昔からこんな風だった)

まるで社長と秘書のような感じ。夫婦にもいろいろな形がある。

明るさを取り戻しつつある岩倉家の未来を考えると、心が温かくなった。



翌日、夕方に一哉がやって来て彼を加えた皆で食事をした。その後男性陣は以前のように飲み会に突入。澄夏は母と一緒にスイーツタイムだ。

「お父さんが元気になってよかったね」
「そうね。一時はどうなることかと思ったけど」
「お母さんもね。足はもう問題ないんでしょ?」
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