エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
四月上旬のある日。
朝の家事をひと通り終えた澄夏は寝室のドレッサーの前に座り、鏡に映る自分の顔を眺めていた。
パーツの一つひとつが小さめで特徴のない顔は、よく言えば清楚で、ストレートな表現をするなら地味。
きめの細かい肌とサラサラした髪は気に入っていたけれど、それも今は最悪のコンディションで、目の下にはコンシーラーでもカバーしきれないクマが浮かんでいる。
心身の疲れがこれでもかと滲み出て二十七歳という実年齢よりも確実に年上に見える。
少し前までは若く見られる方が多かったのに。
(これじゃあ、お世辞でも一哉さんとお似合いの夫婦とは言われないわ)
思わず溜息が漏れた。