エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「お義父さまとは直接話してないけど、お義母さまから状況を聞きたいと言われたの」

「一哉君との結婚についてはなにか言っていたか?」

「……はっきりとした言葉はなにも。でも婚姻関係を継続することに疑問を持っているようだった」

正直に言ったら父が怒り悲しむだろうと思ったが、黙っていてもいずれは知られる。

それに一哉との離婚を進めるには、知っておいて貰った方がいい。

思った通り、父は眉間に深いしわを刻んだ。

「須和家には連絡しておくから、澄夏は離婚なんて考えるんじゃないぞ」

「え?」

父の予想外の言葉に、澄夏は戸惑う。

「なんだその顔は。離婚しろと言われると思っていたのか?」

澄夏は頷いた。プライドの高い父のことだから、義父母の態度に怒りこちらから離婚しろと言いだすかもしれないと思っていたのだ。

「落選したからと言って、なんの力もなくなった訳じゃない。お前は堂々としていればいいんだ」

「……でも、実際お義父さまたちが望んでいる役割は果たせなくなったでしょう? 私は一哉さんに望まれて結婚した訳じゃないし、離婚した方がいいと思う」

父は大きなため息を吐いた。
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