エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
真咲はがっかりと肩を落とす。申し訳なくは思いながら、一哉は視界にフロアの壁かけ時計に目を向けた。
「悪いな。そろそろ出ないといけないんだ」
「それなら私も一緒に出ます」
急ぎ駅に向かいたかったが、頑張ってくれた部下を振り切っていくのは躊躇われたので、一緒にフロアを出た。
多くの官僚たちが働く霞が関。
一哉たち以外にも各庁舎から出てきた人々が駅に向かって歩いて行く。
会議などで他の庁舎を訪ねることはあるけれど、見知った顔は意外と少ない。
「須和さん、奥様は元気でいらっしゃいますか?」
「ああ。変わらないよ」
真咲の問いかけには当たり障りない返事をしたが、本当は澄夏がどうしているのか把握していない。
澄夏がしばらく実家に帰ると夫婦のマンションを出てから半月が経つが、その後連絡がこないのだ。
彼女は元々一哉の仕事に気を使い必要最低限のメッセージしか送ってこないけれど、結婚後これ程やり取りがないのは初めてだ。
さすがに不安になり、何度か一哉の方からメッセージを送ってみたが、簡単な返事がくるだけで澄夏自身と岩倉家の状況についての知らせはなかった。
「悪いな。そろそろ出ないといけないんだ」
「それなら私も一緒に出ます」
急ぎ駅に向かいたかったが、頑張ってくれた部下を振り切っていくのは躊躇われたので、一緒にフロアを出た。
多くの官僚たちが働く霞が関。
一哉たち以外にも各庁舎から出てきた人々が駅に向かって歩いて行く。
会議などで他の庁舎を訪ねることはあるけれど、見知った顔は意外と少ない。
「須和さん、奥様は元気でいらっしゃいますか?」
「ああ。変わらないよ」
真咲の問いかけには当たり障りない返事をしたが、本当は澄夏がどうしているのか把握していない。
澄夏がしばらく実家に帰ると夫婦のマンションを出てから半月が経つが、その後連絡がこないのだ。
彼女は元々一哉の仕事に気を使い必要最低限のメッセージしか送ってこないけれど、結婚後これ程やり取りがないのは初めてだ。
さすがに不安になり、何度か一哉の方からメッセージを送ってみたが、簡単な返事がくるだけで澄夏自身と岩倉家の状況についての知らせはなかった。