エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「はい……私も一哉さんともっと話したいです」

澄香は嬉しそうに微笑んだ。彼女も一哉に対して良い印象を持ってくれたのかもしれない。

早速翌週の週末に会う約束をし、その為に一哉は必死になって仕事を片付けた。


一哉は恋愛にのめり込むタイプではないものの、これまで何人か付き合った女性がいた。

友人関係だったところ告白されて付き合うパターンが多かったが、長く続いたことはない。

浮気など決定的な出来事はないのに、相手が去っていくのだ。

大して落ち込みもせず別れを受け入れながらも、なぜだろうと思っていたのだが、今、その原因をようやく理解した。

自分には熱量が足りなかった。恋人が喜ぶことをしたいと思ったり、次いつ会えるのか先の約束に気を回したり、自分から積極的に相手に関わろうとする意識がまるで足りていなかった。

口でなんと言おうと、冷めた気持ちは相手に伝わる。

自分を本当に大切にしてくれない相手を、誰がいつまでも想い続けていられるだろうか。冷めた態度では振られて当然だったのだ。

でも澄夏に対しては積極的な自分がいた。会ってすぐにどうやって次につなげるのか頭の中で忙しく考えているのだから。
< 98 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop