シークレットの標的(ターゲット)
「ところで、このレストランの予約はいつにする?この先海外出張の予定はないが、出ないといけない会食は幾つかあると思う。うまく君と俺の都合と店の予約状況が合うといいんだが」
スマホを取り出してQRコードを読み取ると『special Invitations』と表示されたページに誘導される。
へえと眉を上げると、望海が「・・・それ、私と一緒に行ってくれるつもりだと思っていいのかな」とおずおずと小さく声を出した。
「俺が他に誰と行くの。それとも、望海が俺以外のヤツと行きたいってことか?」
「ううん、ううん、違う。それ、小池さんから緒方さんにって招待だから私が使うわけにいかないし私がもらったとしても・・・その、えっと緒方さんと行きたいけど、緒方さんはそれでもいいのかな~って・・・」
望海が視線を彷徨わせている。ほんのり顔を赤らめて。
これはーーー。
胃袋と共に落ちかかってるかもしれない。
いいぞ、そのまま落ちてこい。
「俺は望海以外とこんなところへ行く気はないよ。まあ望海と一緒なら何を食べても旨いからここにこだわる必要はないが、望海は行ってみたいだろう?いつにする?ああ場所も表参道だから帰りにちょっと散歩デートするのもいいな」
「わ、私の都合はいいので緒方さんの予定で決めてもらって大丈夫デスから」
更に赤くなった望海を見て手応えを感じる。
いいぞ、いいぞ、もう少しかな。
こんなに女性に執着したのは望海が初めてだ。
責任感が強く芯の通った優しさと強さとかわいらしさを感じてこの子のことを離したくないと思う。
出来れば俺のことを俺と同じくらい好きになって欲しい。
そう思うのは贅沢だろうか。
「あ、でも今度の木曜日の夜だけは行けないわ」
ふと思い出したというようにスマホを見て確認している。
「何か特別な用事なんだ?」
特に気にせず口にしただけだったが、戻ってきた言葉に愕然とした。
「小林さんの本社復帰祝いに誘われているの」
は?
「小林さんってうちの小林さんのことか?」
「ええ、海事の小林さん」
「なんで望海が小林さんの?いやそれ誰が主催してるやつだ?」
海外事業部の歓迎会はとうに終わっている。俺自身が参加したのだから間違いない。
「常務の知り合いがやってるお店がオープン一ヶ月になるからって常務がお祝いするって貸し切りにして、ついでに小林さんの本社復帰祝いをしようって言い出して秘書室の工藤さんが動いてるって聞いてる。そのお店のオペレーションテストの時に小林さんとご一緒させてもらった関係で私にも声がかかったんだと思うけど」
ーーーあの、クソタヌキが。
どういうつもりだ。
俺の邪魔をしたいのか、しつこく小林さんと望海の接点を作ろうとするなんて。
くそ、余裕かましてる場合じゃない。
「ーーーそれ、俺も行くから」
え?とぽかんと口を開けた望海を無視して工藤さんの携帯に電話をかけた。
その後、常務室主催の小林さんの本社復帰祝いには望海と共に参加し、常務が余分なことをしないように見張ったし、小池さんがくれたレストランの招待券も活用させてもらった。
美味しいものを存分に与え、彼女好みのアルコールと会話にとそろそろ彼女も俺の隣にいることに慣れてきたはずだ。
俺はターゲットを絶対に逃さない。
スマホを取り出してQRコードを読み取ると『special Invitations』と表示されたページに誘導される。
へえと眉を上げると、望海が「・・・それ、私と一緒に行ってくれるつもりだと思っていいのかな」とおずおずと小さく声を出した。
「俺が他に誰と行くの。それとも、望海が俺以外のヤツと行きたいってことか?」
「ううん、ううん、違う。それ、小池さんから緒方さんにって招待だから私が使うわけにいかないし私がもらったとしても・・・その、えっと緒方さんと行きたいけど、緒方さんはそれでもいいのかな~って・・・」
望海が視線を彷徨わせている。ほんのり顔を赤らめて。
これはーーー。
胃袋と共に落ちかかってるかもしれない。
いいぞ、そのまま落ちてこい。
「俺は望海以外とこんなところへ行く気はないよ。まあ望海と一緒なら何を食べても旨いからここにこだわる必要はないが、望海は行ってみたいだろう?いつにする?ああ場所も表参道だから帰りにちょっと散歩デートするのもいいな」
「わ、私の都合はいいので緒方さんの予定で決めてもらって大丈夫デスから」
更に赤くなった望海を見て手応えを感じる。
いいぞ、いいぞ、もう少しかな。
こんなに女性に執着したのは望海が初めてだ。
責任感が強く芯の通った優しさと強さとかわいらしさを感じてこの子のことを離したくないと思う。
出来れば俺のことを俺と同じくらい好きになって欲しい。
そう思うのは贅沢だろうか。
「あ、でも今度の木曜日の夜だけは行けないわ」
ふと思い出したというようにスマホを見て確認している。
「何か特別な用事なんだ?」
特に気にせず口にしただけだったが、戻ってきた言葉に愕然とした。
「小林さんの本社復帰祝いに誘われているの」
は?
「小林さんってうちの小林さんのことか?」
「ええ、海事の小林さん」
「なんで望海が小林さんの?いやそれ誰が主催してるやつだ?」
海外事業部の歓迎会はとうに終わっている。俺自身が参加したのだから間違いない。
「常務の知り合いがやってるお店がオープン一ヶ月になるからって常務がお祝いするって貸し切りにして、ついでに小林さんの本社復帰祝いをしようって言い出して秘書室の工藤さんが動いてるって聞いてる。そのお店のオペレーションテストの時に小林さんとご一緒させてもらった関係で私にも声がかかったんだと思うけど」
ーーーあの、クソタヌキが。
どういうつもりだ。
俺の邪魔をしたいのか、しつこく小林さんと望海の接点を作ろうとするなんて。
くそ、余裕かましてる場合じゃない。
「ーーーそれ、俺も行くから」
え?とぽかんと口を開けた望海を無視して工藤さんの携帯に電話をかけた。
その後、常務室主催の小林さんの本社復帰祝いには望海と共に参加し、常務が余分なことをしないように見張ったし、小池さんがくれたレストランの招待券も活用させてもらった。
美味しいものを存分に与え、彼女好みのアルコールと会話にとそろそろ彼女も俺の隣にいることに慣れてきたはずだ。
俺はターゲットを絶対に逃さない。