シークレットの標的(ターゲット)
さっきの女の子たちのことといい、ちょっとモヤモヤする。
相手にムリさせている関係って長続きしないんじゃないかとか、ずっと女性関係心配しなきゃいけないのって大丈夫だろうかって。
今なら松平主任のご主人が主任のことが心配で地味メイクさせていた気持ちがよくわかる。
緒方さんにももっさりした格好させてボサボサ頭で眼鏡かけて顔を隠してもらったらーーーって考えて、ため息が出た。
ああもうこんなのダメだ。ダメ、ダメ。
あんなに主任のメイクを否定したのに自分も同じ思考になりかかってる。
こんなの相手を信用していないってことだし、自分に自信がないからって許されることじゃない。
でもなあ、格好よすぎるのよ、緒方さん。
ほらまた声掛けられてるし。
見ているのが辛くて視線を前に向けた。
チキンの列はあと10人ほど。
あああー、他のメインよりましだとは言えどうしてこんなに長く待つところを選んでしまったんだろう。
なにも考えたく無くなってスマホに逃避した。
興味があるわけでもないネットニュースを次々と目で追う。もちろん内容なんてこれっぽっちも入ってこない。
「お、後5人か。まあまあだな」
戻ってきた緒方さんの両手にはビールの紙コップ。
肘には料理の入った袋が3つもかかっている。
「後は飲みながら待つか」
私に左手のビールを渡すとコップを軽く合わせて「ほれ、乾杯」と促してくる。
「うん、ありがと。乾杯」
紙コップではキンキンに冷えたーーとは言えないけど、冷えたビールが喉を通ってお腹に染み入る。
「一人で寂しかった?」
からかうように聞かれて返答に困る。
この場合、どう答えるのが正解だろう。
緒方さんが女の子に声を掛けられているのを見るのがいやだった。待ってる間に不安になった。自分に自信がなさ過ぎて悲しくなった。緒方さんにムリさせてないか気になったーーー
どう言えばいいのかわからず、緒方さんの顔を見上げてしまった。
「え、望海?なんかあったのか?」
ううん、と首を横に振ってまたビールを口に運んだ。もう次が私たちの番だ。
緒方さんが何か言おうとしたけど、スマホの画面を電子マネーのアプリに切り替えるためと心の中で言い訳をして視線を避けた。
無事にチキンもゲットして飲食スペースへと移動した。
空席はあるもののどこも相席ばかりで落ち着かない雰囲気なのは仕方がない。
「あ、いいものあるぞ」
緒方さんが指さした先にあったのは・・・ござ?!
本部テントの横に貸し出し品と書かれた箱にござと思われる敷物が丸めていくつも並んでいる。
ピクニックシートの代わりにござという発想。
「昔ながらの日本の姿って感じでいいね」
「借りてみるか」「うん」ってことでござをお借りして移動した。
ござを広げて並んで座るとなんだか妙に楽しくなる。
これなら食後にお昼寝も出来そう。
い草の香りもとってもいい。
ござと一緒に本部テントでもらった大きな紙ナプキンを広げて買ってきた料理を並べると、立派なピクニックの完成。
単純なことにさっきまでグジグジとしていた気分がこれで上向きになって来た。
「子どもの遠足と違ってオトナのは酒が飲めるし、たまにはこういいうのもいいな」
緒方さんの言葉に同意だ。
周りを見回すとみな寛いだ雰囲気でこの状況を楽しんでいるのがわかる。
「さあ食おうぜ。冷めないうちに食べるために分かれて並んだんだ」
「そうね」
冷めてしまってはせっかくの苦労が水の泡。
何のために我慢したんだか。
急いでビールと共に戦利品をやっつけることにした。
相手にムリさせている関係って長続きしないんじゃないかとか、ずっと女性関係心配しなきゃいけないのって大丈夫だろうかって。
今なら松平主任のご主人が主任のことが心配で地味メイクさせていた気持ちがよくわかる。
緒方さんにももっさりした格好させてボサボサ頭で眼鏡かけて顔を隠してもらったらーーーって考えて、ため息が出た。
ああもうこんなのダメだ。ダメ、ダメ。
あんなに主任のメイクを否定したのに自分も同じ思考になりかかってる。
こんなの相手を信用していないってことだし、自分に自信がないからって許されることじゃない。
でもなあ、格好よすぎるのよ、緒方さん。
ほらまた声掛けられてるし。
見ているのが辛くて視線を前に向けた。
チキンの列はあと10人ほど。
あああー、他のメインよりましだとは言えどうしてこんなに長く待つところを選んでしまったんだろう。
なにも考えたく無くなってスマホに逃避した。
興味があるわけでもないネットニュースを次々と目で追う。もちろん内容なんてこれっぽっちも入ってこない。
「お、後5人か。まあまあだな」
戻ってきた緒方さんの両手にはビールの紙コップ。
肘には料理の入った袋が3つもかかっている。
「後は飲みながら待つか」
私に左手のビールを渡すとコップを軽く合わせて「ほれ、乾杯」と促してくる。
「うん、ありがと。乾杯」
紙コップではキンキンに冷えたーーとは言えないけど、冷えたビールが喉を通ってお腹に染み入る。
「一人で寂しかった?」
からかうように聞かれて返答に困る。
この場合、どう答えるのが正解だろう。
緒方さんが女の子に声を掛けられているのを見るのがいやだった。待ってる間に不安になった。自分に自信がなさ過ぎて悲しくなった。緒方さんにムリさせてないか気になったーーー
どう言えばいいのかわからず、緒方さんの顔を見上げてしまった。
「え、望海?なんかあったのか?」
ううん、と首を横に振ってまたビールを口に運んだ。もう次が私たちの番だ。
緒方さんが何か言おうとしたけど、スマホの画面を電子マネーのアプリに切り替えるためと心の中で言い訳をして視線を避けた。
無事にチキンもゲットして飲食スペースへと移動した。
空席はあるもののどこも相席ばかりで落ち着かない雰囲気なのは仕方がない。
「あ、いいものあるぞ」
緒方さんが指さした先にあったのは・・・ござ?!
本部テントの横に貸し出し品と書かれた箱にござと思われる敷物が丸めていくつも並んでいる。
ピクニックシートの代わりにござという発想。
「昔ながらの日本の姿って感じでいいね」
「借りてみるか」「うん」ってことでござをお借りして移動した。
ござを広げて並んで座るとなんだか妙に楽しくなる。
これなら食後にお昼寝も出来そう。
い草の香りもとってもいい。
ござと一緒に本部テントでもらった大きな紙ナプキンを広げて買ってきた料理を並べると、立派なピクニックの完成。
単純なことにさっきまでグジグジとしていた気分がこれで上向きになって来た。
「子どもの遠足と違ってオトナのは酒が飲めるし、たまにはこういいうのもいいな」
緒方さんの言葉に同意だ。
周りを見回すとみな寛いだ雰囲気でこの状況を楽しんでいるのがわかる。
「さあ食おうぜ。冷めないうちに食べるために分かれて並んだんだ」
「そうね」
冷めてしまってはせっかくの苦労が水の泡。
何のために我慢したんだか。
急いでビールと共に戦利品をやっつけることにした。