シークレットの標的(ターゲット)
緒方さんの好きって何だろう。
人として?まさか恋愛対象?
「わたし、緒方さんに好かれてたの?」
「情けねえな。これじゃ常務に心配されるわけだよ」
緒方さんはまたため息をついた。
「少しは俺の気持ちが伝わっているかと思ってたし、望海だって俺に多少の好意を持ってくれていると思ったけどーーそれはどうやら俺の勘違いだったみたいだな」
勘違いというか、そんなの伝わってませんでしたけど。
緒方さんの気持ちなんて全く。
それに私の気持ちについての勝手な想像もやめていただきたい。
「囮にしたかったんじゃないの?」
「それに関しては本当にすまなかった。向こうがそこまでやるとは思ってなかった。勿論囮にするなんてこと考えてなかったさ。
ただ、向田が接触する可能性はあるかなとは思っていた。だけど妊娠を疑った状態で望海が酒を飲みに行くはずがないし、向田と二人で食事に行くこともないだろうと思ってた。だけど、まさか向田の女が望海に危害を加えるなんて、な」
「もし私が向田くんと出掛けていたらどうだったのかしら」
「俺の居場所を聞き出そうとする向田にしつこくされる程度だったと思うよ。森山に振られた女の件だって向田は女に近づいて唆したのは事実だけど、実際に振られた腹いせに秘密を暴露したのは女が自分で決めてやったことだし、望海の同僚の女だって向田に捨てられたくないから無理して会社で情報を探していたみたいだからな」
ふううん。
緒方さんが私にしたことはわざとじゃなかったとしても、でもなんだか納得いかないっていうかねえ。
「でも、女避けにはするつもりだったでしょ」
「女避けにする気もなかったって言ったら信じるか?」
「うーん、信用できないかな」
「まあ俺もそうだと思うよ。客観的にみたらそういう風に見えても仕方ない。ただ、俺は本当に望海のことが好きで俺の近くにいて欲しかったから離れていかないようにした。そうじゃなければ望海は森山と付き合う可能性があっただろうからな」
「付き合う可能性???」
ないよね、ないだろう、ないと思うよ、ない。
「いいや、望海は鈍感で気付かなかったかもしれないけど、実際に森山は同窓会後に望海にかかっていたスパイの嫌疑が晴れたら食事に誘うつもりだったんだ」
「そんなの初耳なんですけど?」
「そうならないように俺がぶち壊したしな。ーーー望海と付き合うことになったって森山に言った。だからさっきから言ってるだろ、望海に手を出されないように牽制したんだよ、俺は」
え、ってことは本当に私のことが好きってーー恋愛的な意味だった?
じわじわと身体に熱を感じて顔が熱くなってくる。
うそ、まさか?
緒方さんから私に恋愛的な好意があるだなんて考えたことがなかっただけに信じられないし、めちゃめちゃ恥ずかしい。
どうしていいのかわからずとにかく俯くしかない。
どうしよう、どうしよう。
きっと今の私は耳まで赤い。
うちの会社の新独身イケメンご三家に抜擢確実なシークレットさんが私に好意を寄せているとか、もうこれはいったいどういうことなのか。
はっ、
もしかしたらあまりに私が囮の件で不機嫌になったから「好き」ってことで誤魔化そうとしているんじゃーーー
「違うから」
私がチラリと視線を向けただけで緒方さんから強い否定の言葉がかえってくる。
まだ何も言ってないのに。
やっぱりエスパーか。
人として?まさか恋愛対象?
「わたし、緒方さんに好かれてたの?」
「情けねえな。これじゃ常務に心配されるわけだよ」
緒方さんはまたため息をついた。
「少しは俺の気持ちが伝わっているかと思ってたし、望海だって俺に多少の好意を持ってくれていると思ったけどーーそれはどうやら俺の勘違いだったみたいだな」
勘違いというか、そんなの伝わってませんでしたけど。
緒方さんの気持ちなんて全く。
それに私の気持ちについての勝手な想像もやめていただきたい。
「囮にしたかったんじゃないの?」
「それに関しては本当にすまなかった。向こうがそこまでやるとは思ってなかった。勿論囮にするなんてこと考えてなかったさ。
ただ、向田が接触する可能性はあるかなとは思っていた。だけど妊娠を疑った状態で望海が酒を飲みに行くはずがないし、向田と二人で食事に行くこともないだろうと思ってた。だけど、まさか向田の女が望海に危害を加えるなんて、な」
「もし私が向田くんと出掛けていたらどうだったのかしら」
「俺の居場所を聞き出そうとする向田にしつこくされる程度だったと思うよ。森山に振られた女の件だって向田は女に近づいて唆したのは事実だけど、実際に振られた腹いせに秘密を暴露したのは女が自分で決めてやったことだし、望海の同僚の女だって向田に捨てられたくないから無理して会社で情報を探していたみたいだからな」
ふううん。
緒方さんが私にしたことはわざとじゃなかったとしても、でもなんだか納得いかないっていうかねえ。
「でも、女避けにはするつもりだったでしょ」
「女避けにする気もなかったって言ったら信じるか?」
「うーん、信用できないかな」
「まあ俺もそうだと思うよ。客観的にみたらそういう風に見えても仕方ない。ただ、俺は本当に望海のことが好きで俺の近くにいて欲しかったから離れていかないようにした。そうじゃなければ望海は森山と付き合う可能性があっただろうからな」
「付き合う可能性???」
ないよね、ないだろう、ないと思うよ、ない。
「いいや、望海は鈍感で気付かなかったかもしれないけど、実際に森山は同窓会後に望海にかかっていたスパイの嫌疑が晴れたら食事に誘うつもりだったんだ」
「そんなの初耳なんですけど?」
「そうならないように俺がぶち壊したしな。ーーー望海と付き合うことになったって森山に言った。だからさっきから言ってるだろ、望海に手を出されないように牽制したんだよ、俺は」
え、ってことは本当に私のことが好きってーー恋愛的な意味だった?
じわじわと身体に熱を感じて顔が熱くなってくる。
うそ、まさか?
緒方さんから私に恋愛的な好意があるだなんて考えたことがなかっただけに信じられないし、めちゃめちゃ恥ずかしい。
どうしていいのかわからずとにかく俯くしかない。
どうしよう、どうしよう。
きっと今の私は耳まで赤い。
うちの会社の新独身イケメンご三家に抜擢確実なシークレットさんが私に好意を寄せているとか、もうこれはいったいどういうことなのか。
はっ、
もしかしたらあまりに私が囮の件で不機嫌になったから「好き」ってことで誤魔化そうとしているんじゃーーー
「違うから」
私がチラリと視線を向けただけで緒方さんから強い否定の言葉がかえってくる。
まだ何も言ってないのに。
やっぱりエスパーか。