エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
なんであんなことを言ってしまったのだろうと後悔しながら家に帰り、接待が終わった頃を見計らって謝りのメッセージを送る。しかし、次の日になっても既読にならない。
ひょっとして、私に愛想を尽かしたのかもしれないと不安になったものの、彼が感情に流されて連絡を無視するような人ではないと思い直す。
このままひとりで頭を悩ませていても埒が明かない。こうなったら自分の気持ちを直接伝えよう。
心を落ち着かせてスマホを手に取り、龍臣さんのナンバーをタップする。けれど、いくら待っても呼び出し音が耳に虚しく響くだけ。
メッセージも読んでもらえず、通話も通じないなんておかしい。
もしかしたら彼の身になにか遭ったのはないかという不安に駆られて、寝つけないまま朝を迎えた。
龍臣さんのことが気になるからといって仕事を休むわけにはいかず、出勤の準備をするためにベッドに横たえていた体を起こす。すると、【トラブルがあって大阪にいる。また連絡する】という短いメッセージが届いた。
龍臣さんが無事だとわかり、ホッと胸をなで下ろす。
明日は待ちに待ったクリスマスイブ。横浜のレストランに行く約束を交わしたけれど、この様子だとデートは無理かもしれない。
龍臣さんの力になれない自分を歯がゆく思いながら、心の中でトラブルが早く解決するようにと祈った。