エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
私に向けられた真っ直ぐなまなざしを見た瞬間、心の中で燻っていた思いが嘘のように晴れていくのを実感した。
龍臣さんがそばにいてくれるだけで安心できるし、前向きな気分になれる。けれど、いつまでも彼を頼ってばかりもいられない。
「私、忙しい龍臣さんの負担にならないようにもっとしっかりします。そうだ。自分の身を守れるように護身術でも習おうかな」
「それは頼もしいな」
彼が瞳を細めてクスクスと笑い出す。
もしかしたら冗談を言っていると思われたのかもしれない。けれど、ふたりで他愛ない話をして笑い合うひとときはとても幸せで、護身術を習おうと思っているのは本気だと訂正する気も起きない。
お互いに感じていたわだかまりが解けてよかったと安堵していると、ついさっきまで穏やかに微笑んでいた彼の顔つきが真剣なものへと変化した。
「美桜。会いたかった」
「私も会い……」
返事を言い終わらないうちに顎先に長い指が触れて顔が上向き、瞬く間に唇を塞がれる。
性急で強引なキスも嫌いじゃない。
瞼を閉じてくちづけを受け入れると、上下の唇を割って温かい舌が口内に侵入してきた。
「んっ」
情熱的なキスに翻弄されているうちに、唇の隙間から吐息交じりの声が漏れてしまう。