エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
親友紹介
両家の顔合わせが終わった、翌週の水曜日。
「芽衣!」
待ち合わせ場所である、自由が丘駅から徒歩十分ほどの距離にあるハワイアンカフェの店内に入って来た彼女に向かって手を振る。
「芽衣、こっち」
「ごめんね。待った?」
「ううん。私もさっき着いたところ」
ソファ席に座る私のもとに来た芽衣と、短い会話を交わす。
「そっか。このお店も変わっていないね」
「そうだね」
ここは大学時代、ふたりでよく訪れたお店。当時を懐かしむように、天井で回転するシーリングファンと、観葉植物のモンステラが目を引く南国テイストあふれる店内をグルリと見渡す。
「なに飲む?」
向かいの席に腰を下ろした芽衣に、飲み物のメニューを差し出す。
「やっぱレモネードでしょ」
「だよね」
丸みを帯びた栗色のボブヘアの毛先を揺らす芽衣と笑い合う。
甘酸っぱいレモネードが好きなのも、昔と同じまま。大学生に戻ったような感覚を覚えながら、飲み物と料理をオーダーした。
「銀行の仕事には慣れた?」
「まだまだだよ。芽衣は?」
「私は一日立ちっぱなしだから、足が浮腫んで大変」