エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
「そんなことないよ。親友を紹介したいって言われたら、私だったらうれしいもん。ねえ、美桜。お願い!」
芽衣が両手を合わせて上目づかいで私を見つめる。
私より身長が五センチも低くて童顔な芽衣は同性から見てもとてもキュートで、ワガママを言われてもなんとかしてあげたくなってしまうから困る。
「……うん。わかった」
スマホを手に取り、【突然で申し訳ないのですが、親友を紹介したいので今から少し会えないでしょうか】というメッセージを朝比奈さんに送る。すると、間を置かずに【今どこにいる?】という返信が届く。
地図アプリでハワイアンカフェの位置を送信すると、【すぐに行く】というメッセージが返ってきた。
「どうだった?」
「来てくれるって」
「よかった!」
私と朝比奈さんのやり取りを黙って見つめていた芽衣が無邪気に笑う。
喜んでくれるのはうれしいけれど、彼が来るまでハッキリさせておきたいことがある。
「あのね、朝比奈さんと結婚するって決まったわけじゃないから」
「えっ? だって両家の顔合わせも済んでいるんでしょ?」
「そうだけど朝比奈さんについてまだよく知らないし、次期社長の妻になるのは荷が重いっていうか……」