エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす

重い体を起こしてスマホを手に取り、彼に断りのメッセージを送る。

ドタキャンを申し訳なく思いながら再びベッドに横になったそのとき、ある重要なことに気がつきハッと息を呑んだ。

最後に生理がきたのって、いつだった?

気が動転するなか、必死に記憶をたどる。

もしかして突然吐いてしまったのは食あたりではなく、つわりなのかもしれない。

そう思ったら、どうしよもない不安に駆られて涙が込み上げてきてしまった。

もし本当に妊娠していたとしたら、父親は間違いなく朝比奈さんだ。けれど、たった一度しか関係をもっていないうえに、きちんと避妊してくれた彼に、あなたが父親ですと言っても信じてもらえないかもしれない。

お腹の子をひとりで生んで育てていく自信なんかない。

いったい、どうしたらいいの?

頭から布団をかぶり、涙を流して自問自答を繰り返す。しかし、いつまで経っても答えは出なかった。
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