エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす

「美桜。朝比奈さんがお見舞いに来てくださったわよ」

ドアが開く音と、母親の声で目が覚める。

「ど、どうして?」

突然、私の部屋に姿を現した朝比奈さんを見て、ベッドの中で大きな声をあげる。

「驚かせて悪かった。見舞いに行くと連絡を入れたが、その様子だと見ていないようだな」

「すみません」

妊娠しているかもしれないと思い悩んでいるうちに眠ってしまったため、メッセージが届いていたなんてちっとも気づかなかった。

わざわざ家に訪ねて来てくれたことを、心苦しく思いながら上半身を起こす。

「調子はどうなの?」

「少しよくなった」

クローゼットから薄手のカーディガンを取り出して、肩にかけてくれた母親と短いやり取りを交わす。

胃のムカつきは多少残っているものの、吐き気は治まっている。

「そう。朝比奈さんがプリンを買って来てくださったのよ。あとで持って来るわね」

「うん」

母親がニコリと微笑み、朝比奈さんに「ごゆっくり」と声をかけて部屋から出て行く。

プリンの差し入れはうれしいけれど、パジャマのままだしメイクもしていない。素顔を見られるのは恥ずかしくて、慌てて視線を逸らしてうつむく。
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