エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
エンゲージリングとプロポーズ
鬱陶しい梅雨が明けた七月下旬の日曜日。
朝比奈さんが運転する車が、高速道路の本線にスムーズに合流する。
今日は待ちに待ったドライブデート。照りつける太陽の日差しと青い空は目にまぶしけれど、私の心は残念ながら曇り模様だ。
朝比奈さんと結婚する約束を交わした翌日。仕事終わりにドラッグストアに立ち寄って、妊娠検査薬を買った。結果は陰性。その三日後に、ようやく生理がきたのだ。
「早とちりしてしまって、本当にごめんなさい」
きちんと事実を確認せずに大騒ぎしてしまったと反省して、ハンドルを握る彼に頭を下げる。
「いや、誰にだって勘違いはある。気にしなくていい」
彼が前方に向けていた視線を一瞬だけ私に移してニコリと微笑む。
妊娠が間違いだとわかってすぐに朝比奈さんに連絡したものの、お互いの休みが合わずに直接会うのは、お見舞いに来てくれた日以来。面と向かって謝ることができてよかったと安堵する。
「正直言うと、妊娠していないとわかってホッとしました」
今まで言えずにいた本音を打ち明ける。