エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす
「素敵な車ですね」
「ありがとう。この車は今年の四月に発売されたばかりの電気自動車で、二酸化炭素を排出しないから環境に優しいんだ」
「そうなんですね」
自社の車について熱く語る姿を微笑ましく思って相づちを打つと、朝比奈さんの表情が硬くなった。
「悪い。こんな話、退屈だよな?」
「いえ。私、免許証も持ってないし、車のこともよくわからないけど楽しいです」
「そうか」
「はい」
私に対する気配りをうれしく思いつつ運転席の彼の横顔をじっと見つめると、口角がわずかに上がっているのに気づく。
きっと、ドライブをしながら車について語るのが楽しいのだろう。
意外と表情豊かな彼に親しみを感じ、つられるように笑みをこぼしてドライブを楽しんでいると、今日の目的地である軽井沢に到着した。
夏の日差しは強いけれど湿度は低く、空気が澄んでいて清々しい。
「気持ちいいですね」
「そうだな」
他愛ない会話を交わして、軽井沢の定番スポットである『旧軽井沢銀座通り』に向かった。