エリート御曹司は独占欲の募るまま、お見合い令嬢を愛で落とす

パーティーが終わり「家まで送る」という龍臣さんの厚意に甘えて、ホテルのエントランスに待機していたタクシーに乗り込む。

「お疲れさま。今日はありがとう」

「いえ。龍臣さんもお疲れさまでした」

笑顔を絶やさずに招待客の方々に挨拶をして回るのは想像以上に大変で、今は身にまとっている重たい振袖を脱ぎ捨てて、楽になりたい気持ちでいっぱいだ。

ふうっと息をついて後部座席の窓の外に視線を向けると、ライトアップされた東京駅が目に映る。

レンガ造りの駅舎が、オレンジ色の光に包まれる様子は幻想的でとても綺麗だけど、龍臣さんと理恵さんの関係が気になってしまって心から夜景を楽しめない。

彼女と付き合っていたのかと尋ねるべきか、それとも龍臣さんが自ら説明してくれるのを待つべきか頭を悩ませていると、思いがけない言葉が耳に届いた。
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