クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
話は全然見えないままだけど、彼が指揮している事件に、私の関与が疑われていることだけは察せた。
妻の私がそんなことに……今まで奎吾さんが築き上げてきた輝かしいキャリアに、傷がつくかもしれない。
なのに奎吾さんは、私を怖がらせまいとしてくれる――。


胸がきゅうっと締めつけられた。
迷惑をかけている状況なのに、私は彼にときめいている。
そんな自分が情けなく申し訳なくて、グスッと鼻を鳴らして俯いた。


「……わかりました」


顎を撫でて思案していた神田さんが、溜め息混じりに応じる。


「奥様に落ち着いて聴取に応じてもらえるよう、瀬名さんから説明をお願いします」


奎吾さんが無言で頷くのを確認して、遠山さんに目配せする。
二人が敬礼して部屋を出ていくまで見守って、奎吾さんは半ば脱力気味に、遠山さんが座っていた椅子に腰を下ろした。
深い息を吐いてから、おもむろに顔を上げる。


「急なことで驚いただろう。巻き込んで、すまなかった」


私は喉に声を詰まらせ、何度も首を横に振って応える。
奎吾さんは、頭痛を抑えるように額に手を当て、固く目を瞑ってから――。


「凛花。あまり時間は取れない。手短に話すから、聞いてくれないか」


そう前置いて、自分が指揮している事件について語ってくれた。
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