クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
かばわれる
凛花は逮捕されたわけではなく、勾留されることはない。
しかし、現在捜査二課の部下たちの中では、重要参考人という位置付けだ。
タイミング悪く、逃亡を疑われる状況で任意同行されていたため、一人で家に帰すことはできなかった。
逃亡幇助などと言われた俺が一緒に帰宅しても、身元保証人として信用を得られない。


なんとか凛花を、安全な場所に帰したい――。
目まぐるしく脳細胞を働かせた俺の頭に浮かんだのは、純平だった。


課こそ違うが、純平は俺と同じ警察庁の警視正だ。
社会的地位も警察内での信用も抜群の彼が保証人になってくれれば、俺の部下たちも納得するだろう。


共に、重大事件を指揮する者同士。
詳しい説明ができなくても、こちらの事情は汲んでもらえるのも都合がいい。
俺は捜査一課の執務室に赴き、凛花を預かってもらえるよう、純平に頼んだ。


そして午後十時。
帰宅する純平の車に彼女を乗せるために、俺も駐車場まで見送りに出た。


「奎吾さん……」


彼の愛車、ベンツの後部座席に乗った凛花が、パワーウィンドウを下げて、不安げな目を俺に向けてくる。


「大丈夫。心配するな。すぐに迎えにいく」


腰を曲げて、彼女に返す俺に、


「それなら、お前はさっさと仕事に戻れ」
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