クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
私は、奎吾さんが指揮する事件の重要参考人と見られているそうだ。
家に帰るには身元保証人が必要だけど夫の奎吾さんではダメで、純平さんが申し出てくれたと聞いた。


歩さんは、純平さんからどう説明されただろう?
私が警察に疑われていると話しておかないと、なんの関係もない彼女に迷惑をかけてしまう。


「その……私」

「災難だったよね。警察に疑われちゃうなんて」


上手い言い回しを考え、言いあぐねたところにさらりと挟まれ、声をのんだ。
歩さんが、困ったように目尻を下げる。
私に「ほら、食べて」と促し、自分は綺麗に巻かれただし巻き卵に箸を入れた。


「……はい。いただきます」


私は彼女の反応の先を気にしながら手を合わせ、箸を取った。
味噌汁のお椀を持ち上げ、一口飲む。


「……美味しい」

「そ? よかった」


歩さんは、ふっと目を細めた。
そして、だし巻き卵を口に入れ、


「実は私も、同じような目に遭ったことがあって」


もぐもぐと咀嚼してから切り出す。
私は、味噌汁をごくんと飲み込み……。


「えっ?」


耳を疑って、前に乗り出した。
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