クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「その時助けてくれたのが、純平さん」

「純平さんが?」

「あー。凛花ちゃん、『あの純平さんが?』って顔してる」


からかうように指摘され、とっさに頬に手を当てた。
歩さんは、ペースを上げて食べ進める。


「私にとっては、とんでもなく頼れる警察官僚。凛花ちゃんにとっての奎吾さんも、そうでしょ?」


上目遣いの視線に、私は迷うことなく頷いて応えた。


「だから、奎吾さんは絶対、凛花ちゃんを守ってくれる。凛花ちゃんの信頼を裏切ったりしないはず」

「っ……」


力強く断言され、息をのんだ。
……私だって、そう思ってる。
奎吾さんなら絶対、真相を解明してくれるって。
でも、彼が自ら動かなければならないほどの窮地に追い込み、迷惑をかけているのは私だ。
妻の私が、奎吾さんのキャリアに傷をつけることになったら――。


「……私、奎吾さんの邪魔になる」


ポツリと口にした言葉が、喉に詰まった。


「奎吾さんが私と結婚したのは、キャリアのためなのに。役に立つどころか、足手まといになったらどうしよう……」


情けなくて不甲斐なくて、悲しくて寂しくて。
< 126 / 213 >

この作品をシェア

pagetop